調光とは?

ダイニングの照明を調光している様子

調光とは、照明の光源を段階的(もしくは連続的)に調整し、明るさを変化させる仕組みです。 ホテルやカラオケボックス、コンサート会場などの劇場やテレビ番組、現在では一般家庭の照明にも普及してきました。
LED照明の調光には大きく分けて PWM方式位相制御方式DMX制御方式DALI方式や、 0/10V方式 など様々な種類があります。

コンソールやリモコン、スマートフォン等で任意の明るさに調節でき、プログラムやセンサー制御で自動的に明るさを変える事も可能です。 また、電気代の削減にもつながります。

DALI 調光

DALI(Degital Addressable Lighting Interface)とは、汎用性・拡張性が高い照明制御の通信規格です。(国際規格:IEC 60929)
同方式を採用する別メーカーの製品間での通信が可能で、灯具以外でもセンサーやスイッチ、制御機器等を双方向通信接続することができます。
国内の照明機器メーカーの多くは各社独自のプロトコルを採用しているため、1社に絞った機器選定をすることが多く、自由度が低いのが実情でした。
インターネットとの親和性も非常に高い規格なので、色々なモノがインターネットにつながる”IoT”時代の照明規格として、世界的に注目されています。
システムの安定性が高く、DALIのネットワーク上にある機器同士の連携も制御機器から点灯状態や動作中か停止中か、消費電力の確認等も可能となり、単方向接続のシステムと比べて安全・確実で自由度が非常に高い結果が得られます。

DALI制御方式の解説図1

また、DALI対応製品であれば、メーカーや機器の種類を選ばずに接続することができ、各社性能の良いデバイスを選定することが可能となります。

DALI制御方式の解説図2

規模の大きいシステムでは、ビル管理の統合システム(BEMS)との親和性により、各照明器具や、エアコンの無駄な明かりや色温度、空調を高度で詳細に制御(自動制御や可視的な手動制御)が可能なので、省エネや雰囲気づくりに多大な恩恵を享受できます。
さらに、拡張性が高く、施工が簡単であるため、工事・増設などが比較的簡単に行え、中長期的に見た場合のトラブルが少なく、メリットの多い方式と言えます。

DALI制御調光のメリット:
工事が比較的簡単。
数多いDALI対応製品であれば接続できる共通性。
システムが安定しており、高機能。
DALI制御調光のデメリット:
規模の大きいシステムを構築すると、それなりに高額になる。
対応機器メーカー
  • MEAN WELL (ミンウェル) 安全規格
  • LTECH (エルテック) 安全規格
  • MOONS (ムーンズ) 安全規格
  • LUTRON (ルートロン)

PWM 調光

PWM(Pulse Width Modulation の略)調光は、パルス変調を利用した調光制御を行うシステムで、日本ではメジャーな方式です。

PWM調光の解説図

電気の波形を作り出し、ONとOFFの時間を調整することで、明るさを変化させます。
ONの状態で電圧がかかってLEDが発光し、OFFの状態ではLEDは光りません。
これを1秒間に100~200回という高速かつ、連続的に点灯・消灯を繰り返すことで人間の目には明るさが変化したように見えます。

PWM調光のメリット:
調光範囲が広く、電圧変動や電源の品質の影響を受けにくいため、色の表現が豊かで、特に暗い演出をするのに優れています。
細やかな調光が必要な場合に使用されます。
PWM調光のデメリット:
専用の調光装置が必要になります。
対応機器メーカー
  • MEAN WELL (ミンウェル) 安全規格
  • MOONS (ムーンズ) 安全規格

位相制御 / 逆位相制御 調光

AC(交流)電源の波形(位相)を変化させることで、明るさを調節する方法です。 通常、LED素子はDC(直流)電流で点灯させるので、LED灯具に電気を供給するための電気は電力会社から送られてくるAC(交流)をACアダプター等を介してDC(直流)に変換します。

ACからDCに変換する解説図

DC(直流)の電流では、常に電圧が一定であるため、明るさの調節ができません。 そこで、AC(交流)電流の波長を利用し、点灯している時間を制限して明るさを変化させたものが位相制御方式です。
東日本(50Hz)では1秒間に100回、西日本(60Hz)では1秒間に120回振幅する波形の1つ1つの立ち上がり部分を削ることで点灯している時間を制御します。

位相制御方式の解説図
簡単に調光できる位相制御方式ですが、急激な電圧の上昇によるノイズが発生しやすいという問題点があります。
この問題を解決するためには、波形の後ろ部分をカットする逆位相制御を用います。
逆位相制御方式の解説図
位相制御調光のメリット:
他の信号線を使う調光方式とは異なり、電源線だけで調光制御ができるため、シンプルで簡単に行える。
位相制御調光のデメリット:
灯具と制御機器との相性によっては「ちらつき」、「立ち消え」、「不点灯」となる場合がある。
また、高周波ノイズが発生しやすく、テレビやネットワーク通信に誤動作を生じさせる場合がある。
そのため、ローパスフィルターや逆位相制御装置を用いる必要がある。
対応機器メーカー
  • MEAN WELL (ミンウェル) 安全規格
  • LUTRON (ルートロン)

0‑10V 調光

LEDドライバーに備わった2 本の低電圧制御線(一般に紫=+10 V、灰=0 V)が運ぶ直流 0〜10 V のアナログ信号で光量を連続的に変える方式です。10 V で 100 %、0 V で最小光量(または消灯)になり、その間はほぼ線形で明るさが変化します。1980 年代の蛍光灯バラストで生まれ、現在は LED ドライバーでも最もポピュラーなアナログ調光手段です。

0-10V 調光の配線図(電源線+2芯の制御線)
0-10 V 調光は主電源とは別に調光器につなぐ2芯の制御線が必要

デジタル通信を用いる DALI や DMX と異なり、一方向のアナログ信号のみを扱うシンプルな仕組みのため 大規模なゲートウェイやアドレス設定が不要で、小~中規模の商業施設・オフィス・看板照明など 幅広い現場で採用例があります。ただし長距離配線では電圧降下が発生しやすく、 末端器具で期待どおりの輝度が得られない場合はケーブル径の選定や昇圧が必要です。

0-10 V 調光のメリット:
・制御回路がシンプルで低コスト。
・多くのセンサー/アナログコントローラーと互換性が高い。
・後付けリニューアル(蛍光灯→LED)の際でも既存 0-10 V 信号線を流用できる。
・直感的な電圧値で連続調光が可能なため、ゆったりとしたフェードやムラのない dimming が得意。
0-10 V 調光のデメリット:
・主電源とは別の 2 芯制御線を配線する必要があり、既設配管に空きがない場合は工事負担が大きい。
・配線距離が長いと電圧降下・電磁ノイズの影響で輝度ばらつきが発生する。
・アナログ一方向信号のため、機器状態のフィードバック(双方向通信)が取れない。
・最大 100 %/最小 0 % 付近でリニアリティが崩れやすく、厳密なトーンカーブ制御には不向き。
対応機器メーカー
  • MEAN WELL (ミンウェル) 安全規格
  • HS (ハイパーフェクション) 安全規格
  • MOONS (ムーンズ) 安全規格

DMX 調光

主にスタジオや劇場などの施設で採用される例が多いのがDMX制御方式です。USITT(アメリカ合衆国の芸術とエンターテインメントの専門家の為の協会)により開発が始められ、ANSI(米国国家規格協会)に承認された照明用調光器や演出用機器を制御するための企画で、正式にはDMX512-Aと呼ばれます。

制御される機器は数珠つなぎや、環状に接続(デイジーチェーン)されることが多いのですが、各機器にあるDMX512入力コネクタに制御側から信号を発信し、同様にDMX512出力コネクタから次の機器のDMX512入力コネクタに送信されます。
この接続方法で256段階のボリュームを最大512個の機器を制御することが可能となります。

DMX制御方式の解説図
DMX制御調光のメリット:
数多くの照明機器を独立制御可能で、かつ細かいチューニングもでき、安定性も高い。
調光だけではなく、調色や演出機材(機器側が対応している必要があります)の制御も可能。
DMX制御調光のデメリット:
概ねプロ仕様の機器しか対応していない(家庭用の照明器具には対応していない)。
システムの構築に費用がかかる。
対応機器メーカー
  • MEAN WELL (ミンウェル) 安全規格
  • MOONS (ムーンズ) 安全規格
  • LUTRON (ルートロン)
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